① 「チラシはもう古い」と言い切れない理由
WEBやSNS集客が主流になるにつれて、「チラシはコストがかかる割に効果がない」と感じているリフォーム会社・工務店は多いかもしれません。
確かに、無差別に配布するチラシの反響率は下がり続けています。しかし、チラシそのものが時代遅れになったわけではありません。
問題は「どんなチラシを、誰に、どう届けるか」の設計です。
この記事では、売上5億円から9億円へと拡大したマンションリフォーム専門会社の事例をもとに、「ターゲットを絞ったチラシ」が今なぜ有効なのかを解説します。
② 「養殖型チラシ」とは何か——事例から学ぶ
神奈川県を拠点とするマンションリフォーム専門会社が、業界紙に取り上げられました。10年で売上を5億円から9億円に拡大させた、その成長の原動力が「チラシ戦略」だったのです。
この会社の戦略はシンプルです。
- ターゲットとするマンションを明確に定める
- そのマンションに継続してチラシを折り込む
- チラシにはそのマンションで実際に施工した事例を掲載する
自分が住んでいるマンション名が記載されていれば、自然と目が止まります。見覚えのある間取りの写真があれば、「うちも同じくらいできるのか」と具体的にイメージできます。
さらに、設備交換のニーズを刺激するコンテンツや、メーカーごとの商品比較なども掲載。派手さはなくとも、住民が「今すぐ使える情報」として受け取れる構成になっています。
こうして特定のマンション住民を継続的にアプローチし、少しずつ見込み客へと育てていく——このスタイルが「養殖型チラシ」と呼ばれています。
「釣り(新規獲得)」ではなく「養殖(関係の醸成)」。継続的な接触で信頼を積み上げ、検討のタイミングで思い出してもらう戦略です。
③ WEB・SNSとチラシの本質的な違い
「WEBがあればチラシは不要」という考え方は、両者の性質の違いを理解すると変わってきます。
| 項目 | WEB・SNS | ターゲット特化チラシ |
|---|---|---|
| 集客スタイル | 受け身(検索・発見を待つ) | 攻め(こちらから届ける) |
| 効果が出る時期 | 中長期(数ヶ月〜) | 即時〜中期 |
| ターゲット精度 | エリア・属性で絞れる | 建物・棟単位で絞れる |
| 競合との差別化 | SEO・広告費で競争 | 地域密着・事例の独自性 |
| 向いている会社 | 広域対応・EC・情報発信型 | 商圏特化・地域密着型 |
リフォーム会社・工務店は基本的に「商圏内の問い合わせをいかに増やすか」が勝負です。地域を絞って継続的に情報発信できるチラシは、商圏密着型のビジネスモデルと相性が良い媒体です。
WEB全盛の時代だからこそ、差別化されたチラシは逆に目立ちます。競合他社がチラシをやめているなら、やり続けることがそのまま優位性になります。
④ 「養殖型チラシ」を自社に取り入れる3つのステップ
この戦略は、マンションリフォーム会社だけに使えるものではありません。戸建てや特定エリアに特化したリフォーム会社でも、同じ考え方を応用できます。
● ステップ1:ターゲットエリア・建物を絞る
まず「どこに届けるか」を明確にします。マンションであれば棟単位、戸建てであれば町丁目単位など、できる限り細かく絞ることがポイントです。広く薄く配布するより、狭く深くアプローチする方が認知は積み上がりやすくなります。
● ステップ2:そのエリアの施工事例を掲載する
チラシに掲載する事例は、できるだけ「配布先に近い物件」を選びます。同じマンション・同じ町内での施工事例は、受け取った人に「自分ごと」として感じてもらいやすくなります。事例が蓄積するほど、チラシの説得力が上がっていきます。
● ステップ3:継続して配布し続ける
「養殖型」の本質は継続性です。1回配布して終わりではなく、季節ごと・定期的に同じエリアへ届け続けることで、「この地域のリフォームといえばこの会社」という認知が積み上がります。検討のタイミングで真っ先に思い出してもらうことがゴールです。
⑤ チラシと他の集客手段を組み合わせる
養殖型チラシは単独でも効果がありますが、他の集客手段と組み合わせることでさらに効果が高まります。
- チラシ × ホームページ:チラシを見た人がHPを検索する。HPに豊富な施工事例があれば、信頼につながり問い合わせへ誘導できます。
- チラシ × SNS:「インスタグラムで施工事例公開中」と記載することで、フォロワー獲得と接触頻度の増加が同時に狙えます。
- チラシ × 小冊子・資料請求:チラシを見た方に「詳しい資料をお届けします」と案内することで、見込み客の情報を取得できます。その後のステップメールやフォローにつなげられます。
チラシは「最初の接点をつくる」媒体として最適です。その後の導線を設計しておくことで、チラシ1枚の投資対効果が大きく変わります。
📋 まとめ
- チラシが古いのではなく「設計のない無差別チラシ」が古い
- 「養殖型チラシ」はターゲットエリア・建物を絞り、施工事例を掲載して継続配布する戦略
- WEB・SNSは「受け身」の集客。チラシは「攻め」の集客——商圏密着型ビジネスと相性が良い
- WEB全盛の今だからこそ、差別化されたチラシは目立ちやすく成果につながりやすい
- チラシ単体ではなく、HP・SNS・資料請求と組み合わせた導線設計が効果を最大化する

この記事を書いた人
平原充明|株式会社エフツー 代表取締役
2010年創業。広島県を拠点にリフォーム会社・工務店専門のマーケティング支援を行う。リフォーム雑誌「HIROSHIMA REFORM」の発行、ポータルサイト・YouTube・インスタグラムの運営、自社イベント「ひろしまリフォームフェス」の開催など、自らメディアを運営しながらクライアントの集客・受注支援を行っている。年間300件以上の相談実績。