① クレームを、その場の対応だけで終わらせていませんか
リフォーム工事でクレームが起きたとき、まず必要なのは、お客様の話を聞き、誠実に対応することです。クレームは起きない方がよく、お客様の不満を軽く扱うことはできません。
しかし、必要な対応をしてその場が落ち着いた後、そこで終わっていないでしょうか。
担当者が謝罪し、問題を解決しても、原因が分からないままでは、別の現場で同じことが起こる可能性があります。目の前の問題を収めることと、次の問題を防ぐことは、分けて考える必要があります。
② クレームの背景には、期待と結果のずれがある
クレームの背景には、お客様が期待していたことと、実際の結果とのずれがあることが少なくありません。
お客様は、建築や工事の内容をすべて理解しているわけではありません。一方で、長く暮らしてきた住まいへの思いや、完成後の生活への期待は強く持っています。「プロだから分かってくれるはず」と考えることもあります。
会社側は説明したつもりでも、お客様には伝わっていなかった。夫婦の一人とは話ができていても、家族全体の合意にはなっていなかった。こうした認識のずれは、仕上がりだけでなく、使い勝手や工事中の生活でも起こります。
「説明したか」ではなく、「相手にどう伝わっていたか」を振り返ることが大切です。
③ 対応後は「どこで防げたか」を振り返る
お客様への対応が落ち着いたら、次に原因を整理します。
初回相談、現地調査、見積もり、契約、着工前、施工中、引き渡し。どの段階で認識がずれたのでしょうか。説明が不足していたのか、確認方法が適切でなかったのか、記録が足りなかったのか、担当者間で情報が共有されていなかったのかを見ていきます。
このとき大切なのは、誰が悪いかを探すことではありません。「どの段階で、どのような仕組みがあれば防げたか」を考えることです。責任追及だけになると、失敗が隠され、会社として学ぶ機会を失ってしまいます。
④ 個人の経験を、会社の仕組みに変える
原因が分かったら、担当者の反省だけで終わらせず、再発防止策まで決めます。
事例、原因、行った対応、今後の対策を記録する。社内で共有する。必要であれば、説明資料や確認項目、打ち合わせ記録の方法を変える。新人教育にも生かす。ここまで行うことで、一人が経験した問題を、会社全体の改善につなげられます。
共有するときは、担当者を責めるための場にしないことも重要です。現場で起きたことを安心して出せる組織でなければ、再発防止に必要な情報は集まりません。
⑤ クレームを、次のクレームを防ぐ経験に変える
「クレームは資産になる」という言葉だけを聞くと、お客様の不満を軽く捉えているように感じるかもしれません。
資産になるのは、クレームそのものではありません。お客様に誠実に対応したうえで、原因と認識がずれた段階を整理し、再発防止策を決め、会社で共有できた経験です。
その場を収めて終わるのか。次の現場を良くする材料に変えるのか。対応後の振り返りによって、その違いが生まれます。同じ問題を繰り返さないためにも、個人の経験を会社の仕組みとして残していきましょう。
クレームそのものではなく、原因と再発防止策まで整理された経験が、会社の資産になります。

この記事を書いた人
平原充明|株式会社エフツー 代表取締役
2010年創業。広島県を拠点にリフォーム会社・工務店専門のマーケティング支援を行う。リフォーム雑誌「HIROSHIMA REFORM」の編集長として15年間・21冊を発行し、450件以上の施工事例を取材。集客の分析・見直しを、現場の経験をもとに支援している。
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