① リフォーム営業は、商品を売る仕事でしょうか
お客様から「お風呂を替えたい」と相談を受け、商品を選び、見積もりを提示する。これは、リフォーム営業の大切な仕事です。
しかし、お客様が求めた設備を、そのまま販売するだけで十分でしょうか。リフォームは、完成した商品を店頭で選んでもらう仕事とは少し違います。工事をする場所には、その人の暮らしがあり、家族ごとの事情があります。
目の前の商品だけを見るのか。その家で暮らす人まで見るのか。ここに、リフォーム営業としての提案の違いが生まれます。
② お客様の要望は、本当の課題への入り口
「お風呂を替えたい」という言葉の背景には、さまざまな悩みが考えられます。
冬の寒さがつらい。段差で転ぶのが怖い。掃除の負担を減らしたい。将来の介護に備えたい。脱衣所を含めて使いにくい。お客様自身も、こうした問題を専門的に整理して話しているとは限りません。
だからこそ、すぐに商品選びへ進む前に、「なぜ替えたいと思ったのか」「普段どんなことに困っているのか」と、もう一歩聞くことが大切です。最初に出てきた要望は、解決すべき課題そのものではなく、課題を知るための入り口かもしれません。
「何を替えたいか」だけでなく、「なぜ替えたいのか」を聞くことで、本当の課題が見えてきます。
③ 一つの設備ではなく、住まい全体を見る
住まいの悩みは、一つの場所だけで完結しないことがあります。お風呂の寒さは、窓や脱衣所と関係しているかもしれません。移動の不安は、段差だけでなく、手すりや動線、間取りともつながっています。
設備の商品知識は、もちろん必要です。ただ、それだけでは、お客様にとって本当に適した解決策にたどり着けない場合があります。
誰が、どのように暮らしているのか。今の不便は何か。これから暮らしがどう変わるのか。住まい全体に関心を向けることで、必要な提案と、必要でない提案を分けられるようになります。
④ 暮らしへの関心が、質問と提案を変える
初めから住宅に詳しくなければ、リフォーム営業ができないという話ではありません。大切なのは、住まいや暮らしに興味を持ち、学び続けようとする姿勢です。
興味を持つと、分からないことを調べるようになります。知識が増えると、お客様への質問が変わります。質問が変わると、今まで見えていなかった課題に気づき、提案の内容も変わっていきます。
この積み重ねが、営業担当者としての成長につながります。商品説明が上手なことだけではなく、お客様の暮らしを理解しようとすることも、リフォーム営業に欠かせない力です。
⑤ 信頼と売上は、暮らしを考えた結果としてついてくる
売上を上げなければならないという意識が強すぎると、目の前の商品や契約ばかりに注意が向き、お客様を見る余裕を失いやすくなります。
一方で、自分たちの暮らしを理解しようとしてくれる相手には、お客様も本音を話しやすくなります。本当の課題が分かれば、より納得できる提案につながり、結果として提案の範囲が広がることもあります。
それは、単価を上げるための追加販売とは違います。必要な解決策を考えた結果です。
リフォーム営業は、トイレやお風呂を売るだけの仕事ではありません。その家で暮らす人の困りごとと、これからを一緒に考える仕事です。言われたものを売るだけになっていないか、一度、自分の提案を振り返ってみてください。
商品ではなく暮らしを見る。その姿勢が、よりよい提案と信頼につながります。

この記事を書いた人
平原充明|株式会社エフツー 代表取締役
2010年創業。広島県を拠点にリフォーム会社・工務店専門のマーケティング支援を行う。リフォーム雑誌「HIROSHIMA REFORM」の編集長として15年間・21冊を発行し、450件以上の施工事例を取材。集客の分析・見直しを、現場の経験をもとに支援している。
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